1. 定冠詞の同化
 アラビア語には英語のtheのように使われる定冠詞 al- があります。定冠詞 al- の l- の音は ت،ث،د،ذ،ر،ز،س،ش،ص،ض،ط،ظ،ل،ن t,θ,d,ð,r,z,s,ʃ,S,D,T,Z,l,n など舌先を使って発音する子音の前につくと,同化して発音されるので注意しましょう。
 
al-
 + 
qamar
 → 
al-qamar
 / 
al- + xayr → al-xayr
 / 
al-
 + 
ħamd 
→ 
al-ħamd
القمر، الخير، الحمد
(月,良いこと,称賛)
[al-qamar, al-xayr, al-ħamd]
 
 
 
 
al-
 + 
ʃams 
→ 
aʃ-ʃams / 
al- + nuur → an-nuur
 / 
al-
 + 
salaam
 → 
as-salaam
الشمس، النور، السلام
(太陽,光,平和)
[aʃ-ʃams, an-nuur, as-salaam]
 
 
 
 
アラビア語学では,
定冠詞 al- と同化を引き起こさない文字を「月文字」,
定冠詞 al- の同化を引き起こす子音を「太陽文字」と呼んでいます。
 
 
2. 定冠詞の連続調音
 定冠詞 al- は前の語と続けて一息で発音されます。この際,定冠詞 al- は l- だけになります。
 
aS-Sabaaħ + 
al-xayr → 
Sabaaħ-u⁀l-xayr(-i)
صباح الخير.
(おはようございます。)
 
 
 
 
aS-Sabaaħ + 
an-nuur → 
Sabaaħ-u⁀n-nuur(-i)
صباح النور.
(おはようございます。(返事))
 
 
 
 
 Sabaaħ-u
⁀l-xayr(-i)
 , Sabaaħ-u
⁀n-nuur(-i)
 の -u は主格を表わす格語尾です。
 
 
 ʔilaa 「~へ,~まで」のように語末が長母音で終わる語と定冠詞 al- が続けて発音される場合,定冠詞が l- となるだけでなく,直前の長母音が短母音になります。
 
ʔilaa
 + 
al-liqaaʔ → 
ʔila⁀l-liqaaʔ(-i)