東京外国語大学言語モジュール

「できる」には、許可と可能の意味がありますが、ここで紹介するどちらの表現にもこの２つの用法があります。

(1) qeder
動詞 qederを使って、「できる」を表すことができます。現在形はその場で1回できることを表し、現在進行形はふだんから能力的にできることを表します。

(2) 9eref
技術を習得してできることを表します。もと「知っている」という動詞です。
a-9raf a-9uum 泳げる

(3) momken
可能のほか、許可も表します。momkenは、能力や技術よりも、その場の状況が行為を妨げないから「できる」ことを述べる表現です。
動詞の現在形をつける用法と、名詞をつける用法があります。momkenは不変化です。

(a) momken+[動詞現在形]
momkenに動詞現在形をつけて、「することができる」を表します。
momken HaDret-ek tiigi delwaqti. 「今いらしてけっこうですよ」
momken a-mshi delwaqti? もう行ってもいいですか。
qorayyeba men hena? momken nemshi?
依頼の表現に使われます。

(b) momken+[名詞]
momkenの後に名詞を置くことができます。このとき、物には定冠詞は付けず、事柄には定冠詞を付けることが多いです。

(c) 否定にはmeshを使います。強い禁止（許可の逆）にはmamnuu9「禁止されている」も使います。mamnuu9 も次に動詞現在形や名詞をつけることができます。