ウルドゥー語の名詞は、語尾変化のしかたによって2種類に分類することができます。一般に、一方を男性名詞と呼び、もう一方を女性名詞と呼びます。「男の子」を意味する語が男性名詞に、「少女」を意味する語が女性名詞に分類されるのは理解できるでしょう。
しかし、「手」を意味する語が男性名詞で、「目」を意味する語が女性名詞になるといわれても、理解するのは難しいと思います。
ウルドゥー語では、すべての一般名詞が男性名詞か女性名詞かのどちらかに必ず分類されます。無性物を表す名詞については、どのような名詞がどちらに属するかということに関しては、規則性はありません。
ただし、名詞はその語尾変化のしかたによって分類されるため、規則を覚えておけば、その名詞がどちらに属するかを判断する基準になる場合があります。同時に、例外も数多くあることも頭に入れて置かねばなりません。
まず、規則変化の1つである、 ā (アー)で終わる男性名詞の変化のしかたから見てゆきましょう。
ā (アー)で終わる男性名詞
لڑکا 男の子
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主格
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後置格
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呼格
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単数
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لڑکا
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لڑکے
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لڑکے
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laṛkā
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laṛke
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laṛke
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ラルカー
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ラルケー
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ラルケー
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複数
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لڑکے
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لڑکوں
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لڑکے
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laṛke
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laṛkõ
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laṛke
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ラルケー
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ラルコーン
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ラルケー
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規則変化をする男性名詞
(1/a)یہاں ایک لڑکا ہے ۔
(ここに少年が1人います。)
[yahā̃ ek laṛkā hai.]
(1/b)یہاں تین لڑکے ہیں ۔
(ここに少年が3人います。)
[yahā̃ tīn laṛke hãĩ.]
名詞が単数から複数に変化することにより、文末の動詞も変化していることに注意してください。
上で見た以外にも、男性名詞には、その語尾が ā (アー)で終わらないものも多くあります。そうした男性名詞は、以下のような変化をします。先の ā (アー)で終わる男性名詞の変化と比較して、その違いを確認してください。
ā (アー)で終わらない男性名詞 گھر 家
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主格
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後置格
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呼格
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単数
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گھر
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گھر
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گھر
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gʰar
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gʰar
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gʰar
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ガル
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ガル
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ガル
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複数
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گھر
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گھروں
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گھر
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gʰar
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gʰarõ
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gʰar
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ガル
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ガローン
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ガル
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وہاں ایک گھر ہے ۔
(あそこに家が1軒あります。)
[wahā̃ ek gʰar hai. ]
یہاں چار گھر ہیں ۔
(ここに、家が4軒あります。)
[yahā̃ cār gʰar hãĩ. ]
先に説明したとおり、語尾が ā で終わらない男性名詞は、単数形と複数形が同じ形ですが、文末の動詞が単数形から複数形に変わったり、数詞が「1」から「4」に変わったりと、判断できる材料があるので、問題ありません。