東京外国語大学言語モジュール

後置詞 (1) 属格後置詞

 ウルドゥー語には、後置詞と呼ばれる品詞があります。日本語の助詞に似た働きをします。名詞や名詞相当語の「後ろに置かれることば」という意味で、後置詞と呼ばれます。後置詞が用いられる場合、その前にある名詞は、後置格形となります。

 ウルドゥー語の後置詞には、単独で用いる単純後置詞と、名詞や副詞をともなってより複雑な意味を表す複合後置詞があります。
 
 まず、最初に基本となる単純後置詞を学びます。この課では単純後置詞のうち、属格を表す後置詞を扱います。
 
کی، کے، کا
kā, ke, kī
~の(属格)
 
 属格(~の)を表す後置詞は3つあります。
 後置詞の後ろに来る名詞が男性名詞単数形の場合、 کا を用います。
 後置詞の後ろに来る名詞が女性名詞単数形および複数形の場合、 کی を用います。
 後置詞の後ろに来る名詞が男性名詞複数形の場合、 کے を用います。
(30/a)آپ کا نام
(あなたの名前)
[āp kā nām ]
(30/b)آپ کی کتاب
(あなたの本)
[āp kī kitāb]
(30/c)آپ کے بیٹے
(あなたの息子たち)
[āp ke beṭe ]
30/aで、「名前」という名詞は、男性名詞単数形なので、 kā という形が用いられます。
30/bで、「本」という名詞は、女性名詞なので、 kī という形が用いられます。
30/cで、「息子たち」という名詞は、男性名詞複数形なので、 ke という形が用いられます。
 
 
 なお、後置詞 kā کا が使われる場合でも、同じ節の中に別の後置詞が現れる場合、最後の1つ以外はすべてke  کے に変わるという規則があります。以下の例文を参照してください。
 
(30/d)آپ کے گھر کا پتہ
(あなたの家の住所)
[āp ke gʰar kā patah ]
(30/e)آپ کی بیٹی کا نام
(あなたの娘の名前)
[āp kī beṭī kā nām ]
(30/f)آپ کے بیٹوں کے نام
(あなたの息子たちの名前)
[āp ke beṭõ ke nām ]
30/dでは、「あなたの家」なら、「家」が男性名詞単数なので、30/aと同様 kā を用いますが、「あなたの家の住所」と、同じ名詞句の中で  kā が続くため、最初の kā が、ke に変化します。
30/eでは、「あなたの娘」という名詞句で「娘」は女性名詞単数ですから、後置詞 kā は含まれていません。ですから、そのまま後置詞も変化しません。
同様に30/fでも、「あなたの息子たち」では最初から男性名詞複数形に用いられる ke が用いられているので、後置詞の部分に変化はありません。