東京外国語大学言語モジュール

Step1 : 非行為者フォーカス動詞の状況モード

Ⅰ. 今まで学習してきた -in動詞、 i-動詞、 -an動詞、 pag- -an動詞、 ipag-動詞、 ipang-動詞の状況モードは以下のようになります。 -in動詞の -in は接辞の ma- が添加されると消失しますが、それ以外の接辞は ma- が添加されても消失しません。なお、 ika-動詞と ka- -an動詞には状況モードはありません。
 
中立モード
状況モード
-in
ma-
i-
mai-
-an
ma- -an
pag- -an
mapag- -an
ipag-
maipag-
ipang-
maipang-
 
 モードの違いを表した例文をもう少し見てみましょう。
 
Pinatay (patayin) ng sundalo ang kaaway.
兵士は敵を殺しました。
Napatay (mapatay) ng sundalo ang kaaway.
兵士はたまたま敵を殺してしまいました。
 
 
Pinag-usapan (pag-usapan) namin iyan.
 
 
我々はそのことについて話し合いました。
Napag-usapan (mapag-usapan) namin iyan.
 
 
我々はそのことについて話し合うことができました。
 
 
Baka ipagluto ka niya.
彼女があなたのために料理するでしょう。
Baka maipagluto ka niya.
彼女があなたのために料理することができるでしょう。
 
 
Ipambibili (ipambili) nila ito ng bigas.
彼らはこれを使って米を買います。
Maipambibili (maipambili) nila ito ng bigas.
 
 
彼らはこれを使ってお米を買うことができます。
 
 
  上記の表で -in動詞と -an動詞が状況モードにおいて、それぞれ ma-動詞、 ma- -an動詞となることに注意しましょう。14課で学んだ行為者フォーカスの ma-動詞、 ma- -an動詞と区別できるようにしましょう。
 
Nasira ang makina.
機械は壊れました。
Nasira niya ang makina.
彼は不本意にも機械を壊してしまいました。
 
 
Nasunog ang bibingka.
ビビンカが焦げてしまいました。
Nasunog ko ang bibingka.
私はビビンカを焦がしてしまいました。
 
 
Nasaktan si Jun.
ジュンは傷つきました。
Nasaktan ni Jun ang kasama niya.
ジュンは不本意にも仲間を傷つけてしまいました。
 
Ⅱ.13課で学んだ行為者フォーカスの状況モードである maka-動詞の中には mag-動詞や -um-動詞から派生したのではなく、maka-動詞の形でしか存在しないものがありました。このタイプの maka-動詞に対応する状況モードの動詞をしっかり覚えましょう。知覚に関するものが多く、よく使われます。
 
行為者フォーカス・状況モード
意味
非行為者フォーカス・状況モード
makaramdam
感じる
maramdaman
makakita
目にする
makita
makalimot
忘れる
ma(ka)limutan
makaintindi
理解する
maintindihan
makaalam
知る
malaman
makatanda
覚えている
matandaan
makaranas
経験する
maranasan
makaamoy
においがする
maamoy
makaalaala
思い出す
maalaala
 
Ano ang nararamdaman ninyo?
何を感じますか。
→どんな症状ですか。
Ano ang nakita mo kagabi?
昨夜何を見たのですか。
Hindi kita malilimutan.
あなたのことは忘れません。
Naiintindihan ko ang Filipino.
私はフィリピノ語がわかります。
Gusto kong malaman ang katotohanan.
私は事実を知りたいのです。
Hindi ko siya natatandaan.
私は彼を覚えていません。
Naranasan mo ba ang kahirapan sa bahay?
人生の厳しさを経験しましたか。
Naaamoy ko ang paborito kong aroskaldo.
私の好きなおかゆのにおいがします。
Naaalaala mo ba ako?
私のことを思い出しましたか。
 
Ⅲ. 天候・気象現象を表す動詞の中にも、状況モードになる動詞があります。これらの動詞は行為者である天候・自然現象が、語根の中に組み込まれているので、 ng句の行為者なしで使われます。 ang句で表され、主語となるのは、天候・自然現象の影響を受ける人(または生物)です。
 
Naulanan ako kanina.
さっき雨に降られました。
Baka mahanginan ka.
風に吹かれるかもしれません。
Hindi tayo dapat maarawan.
日にあたらないようにしましょう。
Nakidlatan si Mang Andoy at namatay.
アンドイさんは雷に打たれて死にました。