東京外国語大学言語モジュール

Step3 : 文:疑問文と否定文,平常文

   文末のイントネーションを上がり調子するというのは,文の最後の単語のアクセントのある音節から音質を高くするということです.
Os senhores são portugueses?  (↗)   (あなたがたはポルトガル人ですか?)
   また,疑問詞を用いた疑問文のイントネーションは平常文と同じく下がり調子にしますが,上がり調子のイントネーションで発音してもまちがいにはなりません..
Onde estão os seus amigos?
(お友達はどこにいますか?)
Quando vai para a loja?
(いつその店に行きますか?)
   疑問詞を伴った疑問文では,疑問詞のあとにé queが挿入されることがあります.
Quando é que tu chegaste à escola?
(君は学校にいつ着きましたか?)
é queは,文頭の要素を強調する語句ですが,この場合は疑問文のマーカーです.なくても意味は変わりませんが,イントネーションは必ず下がり調子になります.
ポルトガル語では,動詞の主語は省略出来ます.動詞の変化形に主語の人称に関する情報が含まれているので,語形や文脈から意味が明らかな場合は,主語代名詞は対比,強調などを除いて省略するのが普通です.
Temos todas as razões para acreditar no exito.
(成功を確信する完全な根拠が私たちにはある)
   ポルトガル語の基本的な否定辞はnãoですが,他によく用いられるものにnunca 「決して~ない」, nem「…も~ない」があります.
Você não quer provar um bocado, Manuel?
(ちょっと試してみたくないかい,マヌエル?)
Vocês nunca ouviram isto?
(君たちは今まで一度もこれを聞いたことがなかったの?)
Mas ele não apparecia na escola, nem no consultório.
(しかし彼は学校にも,診療所にも現れなかった)
   nemは例文のように「もまた~ない」という意味で使われますが,強い否定辞として用いられることもあります.
Eles nem sequer se passeiam à noite com as namoradas na rua.
(彼らは夜に恋人と通りを散歩をすることすらしないのである.)
   ブラジルの標準的な話し言葉では動詞の2人称単数形は用いられません.よく,初級文法書などでは「ブラジルではtuは用いられない」と説明されていますが,実際に使用されないのは動詞の変化形で,代名詞のtuは,親しい関係にあるものに対する親称の代名詞として広く用いられています.しかし,動詞のほうは3人称の形が用いられます.
João, tu está aqui?
(ジョアン,ここにいるの? (=João, você está aqui?))
Marina, tu gosta de vinho?
(マリナ,君はワインが好きかい?)
規範文法的には「誤った」形ですが,ブラジルでは広く普及している言い方です.ただし,ポルトガルのポルトガル語ではそのような「誤用」は起こりません.
   Que...!で「なんと~な!」という感嘆文になります.
Que lindo!
(なんてきれいなんだろう)
Que sorte!
(よかったね!)