東京外国語大学言語モジュール

仮定文(現在の事実に反した仮定)

   「もし...であったなら...するだろうに」という,話し手が実現不可能なものとして提示する場合の仮定表現です.現在の事実に反し,実現する可能性が比較的低いとみなされる内容の仮定表現では,条件節に接続法(未完了)過去形が,帰結節には直説法過去未来形(条件法)または直説法半過去形が用いられます.ポルトガルのポルトガル語では,通常の口語表現には,帰結の部分に直説法半過去形を用いますが,ブラジルのポルトガル語では,まだ,過去未来形のほうが広く用いられています.
Se o teu pai fizesse a análise, ficávamos sabendo.
(もし君のお父さんが分析にかければ,我々は知ることが出来るのに)
Se eu e o meu irmão publicássemos isso com os nossos nomes, quem é que acreditava? 
(もし,私と兄が私たちの名前でそれを出版したとしても,誰が信じるだろうか?)
E se naquele território nocturno, de alegria barata, existisse cronista social, certamente registraria o facto cercando-o de adjectivos e exclamações.
(そして,もし,あの夜の安っぽい喜びの世界に社会派のエッセイストが存在していたなら,まちがいなく,その事実を形容詞と感嘆詞でちりばめて記録にとどめただろうに)
   接続詞が省略される場合もあります.その場合も,条件の部分と帰結の部分の時制の組合せで意味は解釈されます.
Não fosse ele ligeiro de corpo e estaria marcado no rosto.
(彼が身軽でなかったなら,顔に傷をつけられていただろうに)