東京外国語大学言語モジュール

接頭辞 meN- の形態変化(1):変化形の基本

 接頭辞 meN- の N の部分は、鼻音(m, n, ny, ng)を表します。基語のはじめの音に応じて、N の部分が4つの鼻音のいずれかとなりmem-, men-, meny-, meng- という形になるか、または鼻音変化を起こさず N が消えて me- という形になります。
 N の部分の変化の基本を、以下に図示します。
 
  
 この図を参照しながら、変化の仕方をさらに詳しく見ていきましょう。
 
【1】語幹の頭音に N がかぶさり、語幹の頭音が鼻音に変わる。(語幹の頭音:p, t, s, k)
 
 p, t, s, k ではじまる基語の場合は、meN- の N が基語のはじめ(語頭)の音にかぶさる形になり、その結果それぞれ m, n, ny, ng に変化します。p / m、t / n、s / ny、k / ng という音の組み合わせは、口内の同じ(または近い)部分で発音するという共通性があります。

【2】N が鼻音に変化してそのまま語幹に付く。(語幹の頭音:b, d, g, c, j, h, 母音)
 
 b, d, g, c, j, h および母音(a, é, i, o, u, e)ではじまる基語の場合は、meN- の N が基語の語頭に対応した鼻音が現れます。対応する音の組み合わせは、口内の同じ(または近い)部分で発音するという共通性があります。
【3】N が消えて me- の形となる。(語幹の頭音:m, n, ny, ng, r, l, w, y)
 
 基語が鼻音(m, n, ny, ng)および l, r, w,y ではじまる場合は、meN- の N が変化せず消える形になり、結果として me- という形で付きます。