東京外国語大学言語モジュール

接尾辞 -kan (1): 《使役》の meN--kan 他動詞

 接尾辞 -kan は他動詞の語幹を作るという文法的な機能を持ちます。意味的には接尾辞 -kan を伴うことにより、おおよそ以下の5つに分類できます。
【1】使役(~させる)
【2】《自動詞+前置詞》に並行的な他動詞
【3】具格的(……を使って~する)
【4】便宜供与(~してやる)
【5】集中的・強意

 ここでは、【1】の使役を取り上げます。「座る」に対する「座らせる」のように、-kan を伴うことによって《動作対象》(いわゆる目的語)を「~(基語)の状態にさせる」「~(基語)の動作をさせる」といった意味の他動詞となるのです。
 他動詞なので、《動作主》が主語の場合には《meN- 形》すなわち接頭辞 meN- を伴い、《動作対象(被動作主)》が主語の場合には《人称詞+ゼロ形》あるいは《di- 形》つまり接頭辞 di- を伴う形が用いられます。