東京外国語大学言語モジュール

Step3 : ことばと機能

ここではことばの「機能」を,「認識・伝達の道具であることばの働き」と定義します。
このように定義すると,ことばの機能は,以下の4つに大きく分類することができます。
1.出来事を叙述すること
2.話し手から聞き手へ働きかけること
3.話し手の内面の認識を表出すること
4.現実を記号によって分節すること
1は話し手から聞き手へと,情報を伝達することで,言語の中心的な機能です。2は,ことばを用いて聞き手になんらかの行為を促す,などの効果を期待するための機能です。この1と2は話し手と聞き手の間の伝達に関わる機能であるのに対して,3は話し手の内面に関わるという点で,聞き手がなくとも存在する機能です。また,4は話し手個人ではなく,ことばの共同体に共有される知識に関するものです。
この教材では,1と2とを中心に扱い,3にも触れることにします。4は単語とその構成を扱う語彙論で扱います。
以下ではこれらの機能についてそれぞれ考えてみましょう。