東京外国語大学言語モジュール

発話時との時間的関係による限定

物理的時間が客観的に測定できるのに対し,動詞に表現される時制(テンス,時称)は,話し手の主観(特定の言語の話し手に共通する主観ではありますが)を反映している「現実」であるために,ある言語では現在形で表す出来事が,他の言語では未来形や過去形,完了形で表す,といった不一致が見られます。
ここでいう「現実」とは,人間の主観的世界において事実と信じられている「現象」のことであって,「人類が滅びても(したがって観察する主体である人間の主観なしに)地球は回転し続ける」という客観的「事実」とは異なるものです。