東京外国語大学言語モジュール

文法と品詞

より正確に定義すると,「文法」は文を構成するための,一定の語の集合(語類)に共通する規則の集合です。以下では,一般になじみのない「語類」に代えて,「品詞」と呼ぶことがあります。
文法は,品詞を単位として述べた文の構成規則の集合と考えられます。たとえば,「日本語の助詞は,名詞の後に置く」というのは文法規則の一例です。助詞という集合には,いわゆる「テニヲハ」の類が含まれます。
名詞という品詞の中にも,たとえば生物を表す語類と無生物を表す語類があって,文法上のふるまいが違う,というのはよくあることです。(例:「家がある」と「犬がいる」の述語動詞の選び方の違いがそれにあたります。)
このように語類をさらに下位分類し,それをさらに分類して,究極的には,ある単語にはその単語特有の組み合わせ上の規則性がある,という場合に,その規則性は語の集合に共有されない,という意味ではもはや文法とは呼べず,いわば「語法」である,という事態もあります。「語にはそれぞれの用法がある」とでも言いましょうか。