東京外国語大学言語モジュール

ことばのパノラマへのいざない

上の3つの問いの答えは,「ある意味ではホント(正しい)」,ある意味では「ウソ(正しくない)」という,ちょっとずるいものです。
1.「ホント:同じインド・ヨーロッパ語族に属し,ゲルマン語系である英語と,隣のイタリック語系であるフランス語には,文法上の共通性があるため,学びやすい部分がありますが,初学者のうちは,なまじ似ているがために混同することもあります。」
2.「ホント:日本語と文法が似ている言語,たとえばモンゴル語,朝鮮語,トルコ語などは文法が学びやすく,日本語と同じ漢字文化圏である中国語,朝鮮語,ベトナム語などは文化語彙が覚えやすいのは事実です。しかし,これもあくまで文法や語彙についての一般論で,これらの言語が発音まで簡単,というわけではありません。」
3.「正しい:人間のことば,自然言語である限り,文法にも共通する性質があります。」「人間には文法の能力が共通して備わっているから,幼児期には母語の習得が容易なのだ」と考える言語学者もいます。また,「ある言語が文法特徴Aを持っていれば,別の文法特徴Bを持つ可能性が高い」というような文法類型の一般化も,ある程度は可能です。