東京外国語大学言語モジュール

「その~」の表し方 (the)

(1) 一度出てきたものや人をさして「その~」を意味するしるし “the”
 
 「わたしは犬を飼っています」は、
I have a dog. ですね。
 
☞ これは、犬のことをはじめて話題にしたときの言い方です。
☞ ここでは、a dog という表現が使われています。
 
 では、さらに話しを続けて、「その犬は黒色です」と述べたい場合は、
The dog is black. と表現できます。
 
☞ dog の前に、“the” という単語がありますね。
☞ “the” は、「その~」という意味で使われています。
 
 すでに話題に上ったものや人をさして、「その~」と言うときには、その単語の前に “the” を付けます。ほかの例を見てみましょう。
 
 まず、「彼には2人の子がいて、1人は男の子、1人は女の子です」と述べる場合、
He has two children: a boy and a girl. と表現できます。
 
☞ 男の子と女の子のことははじめて話題に上るので、a boy, a girl のように “a” が付いています。
 
さらに話しを続けて、「その男の子は10才で、そして、その女の子は5才です」と言う場合、
The boy is ten and the girl is five. と表現できます。
 
☞ 男の子と女の子のことはすでに話題になっているので、今度は、boy と girl に “the” を付けて、the boythe girl としています。
☞ なお、例文中の and は,、「そして」という意味です。文と文をつなぐ役目をしています。
 
★ 初めて話題になるものや人には “a” を、すでに話題になったものや人には “the” を付けます。
(2) “the” を使うその他の場合
 
 “the” は、その他の場合にも使います。どんなときに使うか、例を見てみましょう。
 
 
(a) 話し手と聞き手が共通して理解しているものをさして言うとき
 
 駅の場所をたずねて、だれかに「駅はどこですか?」と質問するとき、
Where is the station? と表現できます。
 
☞ この場合、質問をした人も、質問を受けた人も、共通して、同じ駅を頭の中に思いえがいているのでしょう。
 
★ その場の状況からそれとわかるものには “the” をつけます。
 
 
(b) ただ1つしかないものをさして言うとき
 
 例として、「月」「太陽」「空」「地球」を意味する英語の表現を見てみましょう。
 
    the moon (月)          the sun (太陽)
    the sky (空)            the earth (地球)
 
 月、空、太陽、地球などは、ふつうは、われわれのまわりにただ1つしかないと考えられていますね。このようなものの場合には、“the” を付けます。the moon, the sky, the sun, the earth のようにセットで覚えておくといいですね。
 
★ われわれのまわりにただ1つしかないと考えられているものは、“the” といっしょに使います。