東京外国語大学言語モジュール

045: 注意する過去分詞

 まず (1) や (2) のような分離動詞ですが,これらは,本来は副詞と動詞の2語からなる結び付きが,徐々に一体と感じられるようになり,一語として書かれるようになったものです。従って,過去分詞を作るときは,一旦前綴りを離して動詞本体を過去分詞にし,その後で前綴りを付け直すのです。そのため,ge- が前綴りと動詞本体の間に挟まれたように見えるのです。
 
aufmachen
auf
machen
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
gemacht
 
 
 
 
 
 
aufgemacht
auf
gemacht
 次に,過去分詞に ge- が付かないケースを見てみましょう。まず,ge- が付いている普通の過去分詞のアクセントは,ge- ではなく,ge- の後ろの綴りに置かれます。
ge-sucht    ge-kom-men
 一方,(3) や (4) のような非分離動詞と (5) や (6) のような -ieren で終わる動詞には,語頭の綴りにアクセントが置かれないという共通点があります。
 
(3)
ver-su-chen
(4)
be-kom-men
 
(5)
stu-die-ren
(6)
pas-sie-ren
 もしもこれらの動詞の過去分詞に ge- をつけてしまうと,次のようにアクセントが置かれる綴りは前から3番目 (以降) になってしまうでしょう。
 
(3’) ×ge-ver-sucht
(4’) ×ge-be-kom-men
 
(5’) ×ge-stu-diert
(6’) ×ge-pas-siert
 ドイツ語の単語は,語頭の綴りにアクセントを置くのが基本なので,このように3番目 (以降) にアクセントが来てしまうような語形をわざわざ作らないというのがドイツ語の感覚なのです。