東京外国語大学言語モジュール

085: 接続法 (8) ― 要求話法

 接続法1式で「~であれ!」という祈願や「~するように!」という要求などを表すこともあります。このような接続法1式の用法を要求話法と言います。
 
(1)
a. Der Herr erhöre unser Gebet! 主が私たちの祈りをお聞きくださいますように。
b. Der Herr erhört unser Gebet. 主が私たちの祈りをお聞きくださいます。
 
(2)
a. Jeder tue sein Bestes. 各々ベストを尽くすように。
b. Jeder tut sein Bestes. 各々がベストを尽くしている。
 会話 2 の Ach, Gott sei Dank! (ああ,よかった!<神に感謝があれ,Gott は3格) も要求話法ですが,単なる決まり文句として使われています。決まり文句以外では要求話法の表現は日常会話ではほとんど使われません。一方,次のような誘い掛けの表現は会話などでも良く使われます
 
(3)
a. Singen wir zusammen! 一緒に歌おう。
b. Wir singen zusammen. 私たちは一緒に歌う。
 この動詞も実は接続法1式です。ステップ79で見たように,接続法1式は3人称単数以外は直説法現在形と同じでしたね。これも要求話法の一つの表現です。