東京外国語大学言語モジュール

受動態

1. 受動態の使い方
 アラビア語の動詞の受動態は動作を行う人や物への言及を避けるために使われるのが基本です。
 
目的語
(対格)
動作主
(主格)
動詞
 
عام ٧١٥.‏
الجامعَ الأمويّ
الوليدُ الأوّل
بَنى
 ワリードⅠ世 ウマイヤ・モスク
 715年に 建設した(能動態)
عام ٧١٥.‏
 
الجامعُ الأمويّ
بُني
 ウマイヤ・モスク 715年に
 建設された(受動態)
 「(~が…を)建てる」という意味の他動詞 banaa (ya-bnii) の受動態を使うと,わざわざ「建てた人」である「ワリードⅠ世」に言及することなく,次のような表現ができます。

受動態:buniy-a (yu-bnaa) 「建てられる」

متى بُني الجامعُ الأمويّ؟ ... بُني عام  ٧١٥.‏
(ウマイヤ・モスクはいつ建てられたんですか。…715年に建てられました。)
[mataa buniy-a al-jaamiʕ-u l-ʔumawiyy(-u) … buniy-a ʕaam(-a) sabʕ(-i) miʔa(t-in) wa-xamsat-a ʕaʃar-a]
 
2. 受動態の作り方:完了形
 アラビア語の動詞の受動態は,語幹内の母音を決まったパターンに替えることで作られます。
 完了形の受動態の母音パターンは<□ui□-a>です。
能動態 (完了形)
受動態 (完了形)
ولد
walad-a
「生んだ」
وُلِد
wulid-a
「生んだ」
صنع
Sanaʕ-a
「作った」
صُنِع
Suniʕ-a
「作った」
بنى
banaa
「建てた」
بُنِي
buniy-a
「建てられた」
وجد
wajad-a
「見つけた」
وُجِد
wujid-a
「見つかった」
اكتشف
iktaʃaf-a
「発見した」
اُكْتُشِف
uktuʃif-a
「発見した」
 
iktaʃaf-a 「発見する」のように完了形語幹に三つ以上の母音が含まれる場合,語幹の最後にある母音が i になり,残りは u になります。
 
3. 受動態の作り方:未完了形
 未完了形の受動態の母音パターンは<yu-□□a□>です。
能動態 (未完了形)
受動態 (未完了形)
يكتب
ya-ktub
「書く」
يُكتَب
yu-ktab
「書かれる」
يقرأ
ya-qraʔ
「読む」
يُقرَأ
yu-qraʔ
「読まれる」
يقول
ya-quul
「言う」
يُقال
yu-qaal
「言われる」
يجد
ya-jid
「見つける」
يُوجَد
yuujad
「ある」 *
يستعمل
ya-staʕmil
「使う」
يُستَعمَل
yu-staʕmal
「使われる」
* yuujad は「見つけらる」という意味から,「~がある」という意味でよく使われます。
 
ya-staʕmil 「使う」のように二つ以上の母音が含まれている場合,受動態の未完了形語幹の母音はすべて a になります。