東京外国語大学言語モジュール

動詞過去形の人称変化

1. 動詞過去形の人称変化
 アラビア語の動詞は現在形と過去形で人称変化が異なります。「~したい」のStepで見たように、現在形の人称変化はおもに接頭辞で表しますが、過去形は接尾辞で表します。つまり、現在形は動詞の語頭が変化するのに対し、過去形は動詞の語尾が変化すると言うことができます。
 それでは、語尾の変化に注意しながら、動詞過去形の人称変化を練習してみましょう。
درست، درسنا، درست، درستي، درستوا، درس، درست، درسوا
((私、私たち、貴男、貴女、あなたたち、彼、彼女、彼らは)勉強した)
[darast, darasna, darast, darasti, darastu, daras, darset, darasu]
فهمت، فهمنا، فهمت، فهمتي، فهمتوا، فهم، فهمت، فهموا
((私、私たち、貴男、貴女、あなたたち、彼、彼女、彼らは)理解した)
[fhəmt, fhəmna, fhəmt, fhəmti, fhəmtu, fəhem, fəhmet, fəhmu]
وين درستي عربي؟
(貴女はどこでアラビア語を勉強しましたか。)
[ween darasti ʕarabi]
درست بسوريا.‏
((私は)シリアで勉強しました。)
[darast b-suuriya]
 
2. 動詞の辞書形
 アラビア語学では、3人称男性の過去形「彼は~した」の形が辞書の見出し語となっており、このモジュールではこれを動詞の「辞書形」と呼ぶことにします。
 上の例ではدرس daras と فهم fəhem が辞書の見出し語「辞書形」です。厳密には「彼は勉強した」「彼は理解した」という意味になるのですが、辞書形として表記する場合はدرس daras 「勉強する」、فهم fəhem 「理解する」というように、日本語の辞書形で表記されるのが一般的です。
 
3. 動詞過去形と現在形の組み合わせ
 daras 「勉強する」の現在形は yədros、fəhem 「理解する」の現在形は yəfham というように、それぞれ語根と呼ばれる d-r-s, f-h-m という3つの子音は共通していますが、過去形と現在形では母音の配列が異なります。
 新しい動詞を覚える際には daras (yədros), fəhem (yəfham) というふうに、過去形と現在形をペアで覚えるように心がけてください
 
4. 動詞過去形の否定
 否定の場合は<maa + 動詞過去形>となります。
ما فهمت.‏
(わかりませんでした。)
[maa fhəmt]
 
5. 「まだ~していない」
 「まだ~していない」というときは<ləsaa maa + 動詞過去形>の文型を使います。
لسّا ما أكلت.‏
(まだ食べていません。)
[ləssa maa ʔakalt]