東京外国語大学言語モジュール

普通名詞の定・不定

(1)【目安】普通名詞は次のとき「不定」です。
(a)「〜です」
コピュラ文の述語ではだいたい不定です。ただし、定のときもあります。
次のものは不定です。
 ・職業名や民族・国籍名
 ・物の名称
(b)「〜がある」
存在文の主語、つまり存在するものはだいたい不定です。

(2)【詳しく】普通名詞は次の条件を満たすとき、不定です。
 (a) 同類のものが複数あり
 (b) その内の一部、あるいは1つについて話していて
 (c) 相手はそれが、同類の内のどれなのかを知らず
 (d) かつ、それが話題の中心であるとき。または数量が1であることを言うとき。
(a,b,c)の条件を満たしても、それが話題の中心でなく、どれでも構わないようなときは「定」にします。

(4) 【詳しく】(3)の時以外は、普通名詞が定です。
 ・すでに話題に上っているもの。口にされていなくても、どれのことを言っているか分かるものも含みます。
 ・「〜というもの」のように、その種類の内のどれか一つだけではなく、種類全体を指すとき
 ・抽象名詞

(5) 単複と定不定
単数形・複数形と、定・不定の組合せを整理すると、次のようになります。
不定
単数形
了解済みの「それ」
一般的に「~というもの」
「ある1つの」
複数形
了解済みの「それら」
世界中のそれ全て
「ある、いくつかの」
「その内のいくつか」

(6) 文の主題ないし主語として文頭に来ている名詞はほとんどの場合、定です。不定はあまり主語にならず、また存在文などで主語であるときも文頭には置かれません。