東京外国語大学言語モジュール

定冠詞

(1) 普通名詞が「定」であることを示す l-
普通名詞が定であることを示すために、語頭に定冠詞 l- をつけます。
定冠詞は、名詞の性数に関わりなく常に l- です。

(2) l- の音節
 ・前の語末が母音である場合、l- は、その母音を核とする音節の末子音として発音されます。
masa + l-xeer → ma/sal/xeer (こんばんは)
9a + l-maktab → 9al/mak/tab (机の上に)
・前の語末が子音である場合、l- の前にe(挿入母音)を付けて、el- になりますが、このときも前の語末の子音と1つの音節を形成します。
men l-baab → men el-baab → me/nel/baab
文頭でもel- です。
 l-maktab → el-maktab「その机」
 l-xeer → el-xeer「善」

・付けた語が母音で始まる単語であるときは、その母音を含んだ音節の最初の子音になります。
l + aaxaR → laa/xaR 最後の
l + etneen → let/neen 二つの

(3) l- の語頭子音への同化
舌先音で始まる単語に定冠詞 l- をつけると、定冠詞 l- がその子音に同化します。日本語的には「ッ」(小さなツ)になると考えると分かりやすいでしょう。(n の場合は「ン」になります)舌先音は次のものです: t d s z T D S Z r l sh n。
この他に、k gのときも同化することがあります。
el- dars → ed-dars ダルス → エッダルス「レッスン」
el- Toyuur → eT-Toyuur トユール → エットユール「鳥(複数)」
el- raas → er-raas ラース → エッラース「頭」
el- naas → en-naas ナース →エンナース「人々」
el- ketaab → el-ketaab あるいは ek-ketaab 「本」