時間を表す語のふたつの系列
モンゴル語の時間を表す語は、量を表す系列と点を表す系列によって次のようにまとめられます。
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量
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点
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年
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жил
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он
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月
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сар
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日
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хоног
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өдөр
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時
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цаг
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分
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минут
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秒
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секунд
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量を表す語の系列は、どのぐらい経過したかという表現、どのぐらい必要かという表現など、時間を幅のある単位として扱う場合(時間的単位の表現)に使用します。
一方、点を表す語の系列は、年月日(カレンダーの表現)や時刻(時計の表現)など、時間の一部を幅を持たない点として扱う場合に使用します。
時間の量を表す表現
時間を幅のある単位として扱う場合は、量の系列の語を単位とし、それがいくつあるかを基数詞で修飾することによって表します。このとき、基数詞は、ふつうの名詞を修飾するときと同じようにН交代語幹となります。なお、секунд 「1秒」の場合には、あとのステップで学習する小数の表現で修飾することもできます。
【基数詞】 жил (1年=365日)
【基数詞】 сар (1か月=30~31日)
【基数詞】 хоног (1日=24時間)
【基数詞】 цаг (1時間=60分)
【基数詞】 минут (1分=60秒)
【基数詞】 секунд (1秒)
以下の例では、煩雑を避けるために、数詞の部分を算用数詞で示しますので、数詞そのものの表し方は関係するステップを参照してください。
2 жил 2年
хагас жил 半年
3 сар 3ヶ月
40 хоног 40日
24 цаг 24時間
13 минут 13分
7 секунд 7秒
1の場合は基数詞が省略されることもあります。
жилийн дотор 1年以内に
сарын дараа 1ヶ月後に
цагийн өмнө 1時間前に
これらを組み合わせる場合は、特に語尾をとらずそのまま並べます。
1 жил 8 сар 1年8ヶ月
6 цаг 32 минут 6時間32分
これらは量としての時間単位を表しますが、対応する疑問詞は、量をたずねる хичнээн 「どのぐらいの」ではなく、数をたずねる хэдэн 「いくつの」となりますので注意してください。
хэдэн жил 何年
хэдэн минут 何分
これらの表現とともによく使われる動詞には、өнгөр- 「経過する」、түрүүл- 「進む」及びхоцор- 「遅れる」などがあります。時間を表す表現の部分は、өнгөр- の場合は動作主であるのに対して түрүүл- と хоцор- の場合は状況語(動作主は『時計』など)となりますが、造格のほかに、主格のままでも使うことができます。
Түүнээс хойш 20 жил өнгөрчээ. その後20年が経過しました。
Миний цаг 5 минут түрүүлж байна. 私の時計は5分進んでいます。
= Миний цаг 5 минутаар түрүүлж байна. 同上
жил 「1年」は、干支を表す「~年(とし)」の表現としても用いられます。
тахиа жил 酉年
бар жил 寅年
時間の点を表す表現(1) カレンダー
カレンダーの一点すなわち年・月・日は、それぞれ次のように表現します。なお、モンゴル語の場合、曜日の名前については純粋な語彙の問題となりますので、この文法モジュールでは扱わないこととします。
年は、基数詞で он 「年」を修飾することによって表します。
【基数詞】 он (年)
1993 он 1993年
2016 он 2016年
月(つき)は、 ヨーロッパの言語のように個別の単語が存在しないため、序数詞または基数詞で сар 「月」を修飾することによって表します。
序数詞による表現は、現在では法律など公式的なスタイルでのみ用いられ、ふだんはほとんど基数詞が使われます。基数詞による場合は、幅を表す「~ヶ月」と同じ形になります。
【基数詞/序数詞】 сар (月)
3 сар ~ 3-р сар 3月
日は、次のふたつの方法のいずれかによって表します。
【基数詞-ны】 өдөр
【基数詞のН交代語幹単独(1と2を含む)】
前者の方法の -ны は、母音調和による -ний への交代はありますが、1と2を含むすべての基数詞にそのまま接続する特別な語尾です。このモジュールでは、この語尾をとった形を基数詞の日付形と呼ぶことにします。属格形(数詞の場合はН交代語幹が現れない)との違いに注意してください。
後者の方法では、ふつうはН交代語幹を持たない1と2を含めたすべての基数詞のН交代語幹の形がそのまま「~日」を表します。
以下に、単語が存在する基数詞のうち日付に関係するものの日付形とН交代語幹をまとめて示します。
数
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語幹
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日付形
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Н交代語幹
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1
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нэг
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нэгний
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нэгэн
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2
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хоёр
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хоёрны
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хоёрон
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3
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гурав
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гуравны
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гурван
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4
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дөрөв
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дөрөвний
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дөрвөн
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5
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тав
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тавны
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таван
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6
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зургаа
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зургааны
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зургаан
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7
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долоо
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долооны
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долоон
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8
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найм
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наймны
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найман
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9
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ес
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есний
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есөн
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10
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арав
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аравны
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арван
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20
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хорь
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хорины
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хорин
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30
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гуч
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гучны
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гучин
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すでに学習したように、基数詞を算用数字で書くときは語尾の部分だけを略記しますので、以下の説明では日付形の語尾を算用数字に付けた形で表記します。
また、基数詞のН交代語幹のНの部分は、算用数字で表記するときには省略されることがありましたが、日付を表す場合には省略しないのが一般的ですので、ここでも、一般的な表記にしたがうことにします。
ほかの基数詞を組み合わせて表される数による日付は、組み合わせに含まれる基数詞のうちの最後のものだけを日付形にすることによって、その数全体の日付を表す形を作ることができます。
12-н 12日
21-ний өдөр 21日
日付形+өдөр による日付は、時点を表す与位格語尾を省略することができます。
7-ний өдөрт ир- 7日に来る
7-ний өдөр ир- 同
年・月・日を組み合わせる場合は、属格によって接続します。
1945 оны 8 сарын 9-н 1945年8月9日
1974 оны 5 сарын 2-ны өдөр 1974年5月2日
これらをたずねる場合の疑問代名詞には、時間的単位を表す表現と同じく хэдэн 「いくつの」を使います。
хэдэн он 何年
хэддүгээр сар ~ хэдэн сар 何月
хэдний өдөр ~ хэдэн 何日
時間の点を表す表現(2) 時計
時計の一点すなわち時・分・秒は、次のふたつの方法のいずれかによって表します。モンゴルでは12時間制と24時間制のいずれも使われますが、「0時」という言い方は次のいずれの方法によってもあまりせず、「12時」とするのがふつうです。
まずひとつめの方法は、点の系列の語を単位とし、それらを基数詞で修飾することによって表します。すなわち、時間的単位の表現と形の上では同じということになります。
【基数詞】 цаг (時間=文字盤の12分の1)
【基数詞】 минут (分=文字盤の60分の1)
【基数詞】 секунд (秒=文字盤の60分の1)
20 цаг 20時
31 минут 31分
2 секунд 2秒
これらを組み合わせる場合は、特に語尾をとらずそのまま並べます。
17 цаг 55 минут 17時55分
この方法による場合の疑問代名詞は хэдэн 「いくつの」となります。
хэдэн цаг 何時
хэдэн минут 何分
もうひとつの方法は、基数詞をそのまま使う方法です。これはくだけたスタイルで用いられます。この場合、「~時」を表しているのか「~分」を表しているのかは文脈から判断しなければなりません。
【基数詞】
21 21(時~分)
ふたつの基数詞をそのまま並べると、「~時~分」を表すことができます。
10 20 10時20分
この方法による場合の疑問代名詞は хэд 「いくつ」という形になります。
хэд 何時~何分
前者の方法による「~時」と後者の方法による「~分」を組み合わせて表すこともできますが、この逆はあまり用いられません。
3 цаг 45 3時45分
3 45 минут (?)
毎時30分は、どちらの方法による場合でも、хагас 「半分」という語を使って表現することができます。
10 цаг хагас 10時半
10 хагас 同上
時計の表現は、бол- 「なる」という動詞とともに用いられます。このとき、現在の時刻を表す場合には進行・継続アスペクトの形式を使用します。
10 цаг 40 минут боллоо. 10時40分になりました。
Одоо 2 хагас болж байна. 現在2時半になっています。
このほか、基準となる時刻から(基準時は奪格)どのぐらいの時間的単位が өнгөр- 「経過する」か、または、その時刻に(基準時は与位格)どのぐらいの時間的単位が дутуу 「足りない」であるかを表す表現もよく使われます。
1 цагаас 10 минут өнгөрч байна. 1時10分過ぎです。
1 цагт 10 минут дутуу байна. 1時10分前です。
Н交代語幹かどうかによる意味の区別
このステップで出てきた сар と цаг は、「1ヶ月/月」・「1時間/時」という抽象的な意味以外に、それぞれ「(天体の)月」・「時計」という具体的な意味も持っていますが、現代語では、Н交代語幹を使うかどうかによってそれらの区別が行なわれます。すなわち、具体的なものを指すときにかぎってН交代語幹を持つ語として扱われるのです。
12 сараас 12月から(抽象的意味)
сарнаас авчирсан чулуу 月から持ってきた石(具体的意味)
3 цагийн дараа 3時間後に(抽象的意味)
цагны дэлгүүр 時計の店(具体的意味)