形動詞形の流用による過去テンス
以前のステップで学習したように、モンゴル語では述語のテンス(時制)を示すのは終止形であり、過去の場合は3種類の語尾を使い分けて表します。しかし、現代のモンゴル語では、過去の時間的意味を表す終止形を補充するために、本来は文の述語になるための語尾ではない形動詞形語尾の一部が終止形と同じ用法で使われるという現象があります。
終止形と同じように述語となる用法で使われる形動詞形のうち、過去を表すものは次のとおりです。
平叙文
【語幹-сан】
質問文
【語幹-сан】 уу(бэ)?
【語幹-аа】 юу(вэ)?
平叙文の -сан は、終止形に準じる用法の場合はもっとも中立的な過去を表します。-сан уу (бэ)は平叙文に対応する質問文の形で、いずれも、本来の終止形以上によく使われます。
Бид өчигдөр хөдөөнөөс ирсэн. 私たちは昨日いなかから来ました。
Чи хоол идсэн үү? 君は食事をしましたか?
一方、質問文だけにある-аа юу (вэ) は、過去の意味では動作動詞にだけ接続し、動作が完了したかどうか推測しつつ質問するというニュアンスを持ちます。これはややくだけたスタイルで使われます。なお、あとのステップで学習するように、状態動詞に接続すると違う意味になります。
Сэр-Од одоо хүрээ юү? セルオドはもう到着したでしょうか?
Та энэнийг уншаа юу? あなたはこれを読んだでしょうか?
動詞の過去形のまとめ
ここで、これまでに学習した過去の形をまとめておきましょう。
平叙文
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質問文
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疑問代名詞なし
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疑問代名詞あり
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-лаа
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-л уу?
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-лаа?
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-жээ
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-ж уу?
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-ж вэ?
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-в
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-в уу?
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-в?
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-сан
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-сан уу?
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-сан бэ?
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なし
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-аа юу?
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-аа вэ?
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否定文の形は、平叙文での使い分けとは無関係に次の2種類となります。
単純な否定
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-аагүй
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価値判断を含んだ否定
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-сангүй
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