東京外国語大学言語モジュール

形容詞の重ね型

1.性質形容詞と状態形容詞
 中国語の形容詞は本来事物の属性を表すのに対し,形容詞を重ね型にすると,事物の発話時点の具体的な状況を生き生きと描写する意味になります。属性を表す,形容詞の元のままの形を「性質形容詞」,また重ね型などのような発話時点の具体的な状況を生き生きと描写する形を「状態形容詞」と呼びます。
 形容詞(性質形容詞)はいわば名詞に属性を与えてその名詞を分類しています。したがって,述語の位置に置かれると比較・対照の意味が出ます。それをなくすために飾りの“很”が必要になってきます。
 
  今天冷,(昨天暖和)→今天很冷。(今日は寒い。)
 
 さらに,連体修飾語として名詞を修飾するのも固定化した結びつきに限られます。属性に基づいて名詞を分類し新しい類名を作っているからで,類名がない場合は言えません。これに対して状態形容詞はその場の様子を描写しているに過ぎませんから,臨時的に自由に結びつきます。
 
  *蓝天空→蓝蓝的天空 (青い空)
 
 形容詞の重ね型は,この状態形容詞の主要なメンバーです。
2.状態形容詞の分類
(1)形容詞の重ね型
 ①単音節A→AA的
  大大的 (でっかい)    高高的 (高々としている)
 
 ②2音節
 AB→AABB(的)
  清清楚楚的 (はっきりしている)
  高高兴兴的(うれしそうである)
(この場合2音節目は軽声で読まれます。)
 AB→A里AB(的)
  糊里糊涂(的) (おろかである)
 AB→ABAB(的)
  雪白雪白(的) (雪のように白い)
  冰凉冰凉(的) (氷のようにつめたい)
 
(2)後置成分を置く形容詞
 A→ABB,A→A里BCなど
  热乎乎 (ほかほかした)    干巴巴 (かさかさな)
 
(3)程度副詞+形容詞+“的”
  很好的 (とてもよい)
 
 最後の(3)はフレーズですが,性質は形容詞の重ね型と同じなので,状態形容詞に相当するものとみなします。
3.形容詞の重ね型の使い方と意味
(1)名詞と関係を持つとき:ありありとその姿を描写します。
 ①連体修飾語
  胖胖的人 pàngpàngde rén (太った人)
  老老实实的工人 lǎolaoshíshíde gōngrén (誠実な労働者)
 
 ②述語
  屋子里静悄悄的。 Wūzi li jìngqiāoqiāode.
  (部屋はひっそりとしています。)
  台布雪白雪白的。 Táibù xuěbáixuěbáide.
  (テーブルクロスは真っ白です。)
 
(2)動詞と関係を持つとき:程度を強調します。
 ①連用修飾語
  慢慢儿地看 mànmānrde kàn (ゆっくり見る)
  好好儿介绍介绍 hǎohāor jièshàojieshao (しっかり紹介する)
 
 ②補語
  走得远远的 zǒu de yuǎnyuǎnde (遠くまで行く)
  写得清清楚楚的 xiě de qīngqingchǔchǔde (はっきりと書いてある)
4.形容詞の重ね型の語尾“的”
 形容詞の重ね型は連体修飾語や述語になる際には一般に語尾“的”を伴います。連用修飾語や補語になるときも語尾“的”を伴うことが少なくありません。(連用修飾語になっているときは表記上は“地”と記します。)