東京外国語大学言語モジュール

6.2.2. 二重母音

 撥音節に現れる二重母音には-ai、-au、-ei、-ouの4種類があります。全体が鼻母音となります。

 二重母音の主体は前にある母音の方で、後ろの母音は若干添えるような感じになります。日本語の「アイ」のように、「イ」がはっきりと明確に発音されるわけではありません。音声をよく聞いて、マネをするようにしてみてください。

1. -aiɴ

 広口の母音[-ä]から狭口前舌母音[-ɪ]への二重母音です。なお下降調となるのは極めてまれです。

ချိုင် [cʰàiɴ ]剪定(せんてい)する
ချိုင်း [cʰáiɴ ]陥没している *
ချိုင့် [cʰâiɴ ]窪んでいる

* 高平調の cʰáiɴ〈ချိုင်း〉についても、ほとんどのビルマ語話者「そんな単語はない」という。『ビルマ(ミャンマー)語辞典』(2000)には上記の意味が掲載されているが、“Myanmar-English Dictionary”(2019, 2nd edition)には掲載されていない。なお有声化したjáiɴ〈ချိုင်း〉「脇の下」はある。

 

 

2. -auɴ

 広口の母音[-ä]から狭口後舌母音[-ʊ]への二重母音です。

စောင် [sàuɴ ]毛布
စောင်း [sáuɴ ]竪琴
စောင့် [sâuɴ ]待つ

3. -eiɴ

 半狭口の前舌母音[-ë]から狭口後舌母音[-ɪ]への二重母音です。

သိမ် [t̪èiɴ ]細小だ
သိမ်း [t̪éiɴ ]保存する
သိမ့် [t̪êiɴ ]震える

4. -ouɴ

 半狭口の後舌母音[-ö]から狭口後舌母音[-ʊ]への二重母音です。

မုံ [mòuɴ ]
မုန်း [móuɴ ]憎む
မုန့် [môuɴ ]お菓子