東京外国語大学言語モジュール

理由

これだけは覚えよう
文の作り方
1 単文S1と単文S2を、原因-結果、判断の根拠-判断、命令などの関係でつないで複文を作るときには、次のような表現があります。「ので」は普通形、丁寧形両方に接続しますが、「ナ形容詞・名詞+だ」の普通・非過去・肯定の形に接続する場合は、「NA+なので」「N+なので」とします。「から」は普通形、丁寧形両方に接続します。
 
 
(1)雨が降ったので試合が中止になりました。
(2)もう遅いので、これで帰ります。
(3)このカメラが便利なので、これにしませんか。
(4)あしたが提出日ですので、気をつけてください。
 
(5)きのうは祭日でしたから、学校は休みでした。
(6)くすりを飲みましたから、もうだいじょうぶです。
(7)あしたは授業がないから、学校へ行きません。
(8)もうだいじょうぶですから、心配しないでください。
「ので」と「から」の意味
2 「ので」「から」は、S1がS2で表わされていることの原因・理由であることを示します。
そのほか
3 理由をたずねるときは、「どうしてS2のですか」や、「どうしてですか」を使います。
(9)A:どうしてわたしの電話番号がわかったのですか。
  B:小林さんに聞きました。
(10)A:田中さんもあした来ますか。
  B:いいえ、来ません。
  A:どうしてですか。
  B:病気だからです。
¶理由をたずねる質問に答えるとき、「普通形+からです」と言うこともできます。
(9)’A:どうしてわたしの電話番号がわかったのですか。
   B:小林さんに聞いたからです。
(11)A:どうして「蛍の光」が流れているのですか。
  B:図書館が閉まるからです。
¶なお、「普通形+からです」は、原因・理由を知っている人が知らない人に教えるというニュアンスを含むことが多く、目上の人に用いると失礼な場合があります。
余裕があれば
4 「から」は「ので」に比べて、「これが理由である」ことをよりはっきりと明示するニュアンスがあります。そのため、聞き手にものを頼む表現(勧誘・依頼・命令)や、自分の行為の理由を述べる場合に「から」を用いると、自分の事情を一方的に言い立てる印象を与えます。「ので」を使うとそのようなことはありませんので、「ので」を使うほうがよいでしょう。
5 S1が人の行為である場合「から」を用いると、S2が生じた責任を、S1の行為をした人に帰する含みが出ることがありますので注意しましょう。
6 普通体の文(「普通体」参照)では、「ので」は、起きたことの原因・結果関係を表わすのに使うのがふつうで、判断の理由や、決意・勧誘・依頼・命令などの理由を表わす場合にはあまり用いません。
7 理由の表現には、「て形」(→「Vて(て形) 」)や「N+で」などもあります。
(12)雨が降って試合が中止になりました。
(13)かぜで休みました。
¶4や5で「から」を使うと問題になる場合、「て形」を用いると、言い訳をしたり、責任を追求したりするニュアンスが出ません。
(14)A:どうして授業を休んだのですか。
  B:熱があって、起きられませんでした。
(15)きょうは先生が病気で、授業が休みになりました。