東京外国語大学言語モジュール

Vないでください

これだけは覚えよう
1 「Vないでください」は、何かをしないことを指示するときに使います。
 
     Vないで
  ください
(1)ここではたばこをすわないでください。
(2)きょうはおふろに入らないでください。
2 「Vないで」は、「すわない+で→すわないで」のように動詞普通形の非過去否定形(ない形)に「で」をつけた形です。「すわない」は「すう」の「ない形」です。「ない形」については「普通形の体系」の一覧表を見てください。「ください」は「Nをください/Nをお願いします」、「Nを(数)ください/お願いします」で勉強したように、何かを話し手に与えるよう求める表現です。そして、動詞の「て形」とともに用いられた「ください」は、「Vてください」で勉強したように、何かを話し手のためにするよう相手に求める形です。
3 指示の表現は、聞き手が話し手の指示にしたがうのが当然の人間関係において使われます。たとえば「部屋の管理人から利用者に」「医者から患者に」「教室での教師から生徒に」「警官から一般の人に」などです。
4 相手への強い要求を表わすこともあります。この場合には、上のような人間関係の制限はありません。
(4)コンピューターを使っています。スイッチを切らないでください。
余裕があれば
5 「Vないでください」は、2で語構成を示したように、本来は話し手の不利益になることをしないように聞き手に依頼する形式です。
(5)どうかおこらないでください。
(6)わたしを殺さないでください。
(7)不合格にしないでください。
この場合、3に示したような人間関係の制限はありません。
6 「Vないでください」を使って、聞き手への配慮を表わす場合があります。
(8)だいじょうぶです。心配しないでください。
(9)あまり無理をしないでください。
(10)気にしないでください。
(11)どうぞ遠慮しないでください。
この場合も、3に示したような人間関係の制限はありません。