東京外国語大学言語モジュール

Step50 : 使役

使役は,動作主が被動作者に対して,ある行為を行なうようにと,示唆,強制する場合の表現です。動作主,被動作者(被使役者)とその行為という3者に着目した表現と言うことができます。使役表現では,「被使役者が行なう行為」のきっかけとして,動作主の動作(示唆する,命じる,強制するなど)が関わっている,という関係にあります。
使役構文においては,被使役者がその行為を命じられて,実際に行なったかどうかが問題になります。
日本語で,「花子は太郎に買い物に行かせた」と言えば,ふつう「太郎が買い物に行った」ことが含意されるでしょう。しかし,このような結果の実現を含意しない言語もあり,言語によっては,被使役行為の実現,未実現の違いを文法的に表現するものもあります。