東京外国語大学言語モジュール

叙述機能

ことばの第1の機能は,話し手が聞き手に対して,「出来事を叙述すること」にあります。
これは,ことばの中心的な機能の一つです。ここで「出来事」とは,モノ(現実・架空世界の存在物)と,それに関わる「動作,状態および状態の変化」などの現象一般を指す,と大まかに考えましょう。
出来事はふつう,ある限られた空間,時間に生じます。ことばは出来事を叙述するための仕組みを「文法」として体系的に発達させているため,叙述機能の全体を説明すると,結局文法の全体系を扱うことになってしまいます。そこで,この教材では,以下の内容に限って説明することにします。
 
場面設定:ものごとの存在,出来事を表現するためには,それらのある「空間(および時間)」を「場面」として設定し,描写の背景を限定するのが一般的です。
さらに,いくつかの「出来事」があると認識される場合,それらの「継起」を時間的連続の中でとらえ,また原因・結果という因果性として捉える表現があります。
また,仮定の表現として前件が後件の継起する条件であるとする表現があります。