東京外国語大学言語モジュール

側置詞

名詞句は,それ自体に文中の他の要素,たとえば述語の表す動作に対して,「動作主」「動作の対象」「動作の手段」などの意味関係,文法関係を表示する形式を「格変化(曲用)」という形で含んでいる場合があります。また,前置詞,後置詞と呼ばれる要素を句に付加することで,文法関係を明示することもあります。これらの前置詞,後置詞を合わせて「側置詞」と呼びます。英語やフランス語の場合のように,名詞の前に置かれるものを前置詞,日本語の助詞のように,名詞の後に置かれるものを後置詞と呼びます。
側置詞のうちで,ドイツ語の分離動詞の「前綴り」のように,必ずしも名詞とともに用いられず,単独で現れるものは,副詞に近い機能を持っています。あるいは,副詞のうち,特別なグループが側置詞の機能を果たしているとも考えられます。
また,日本語の空間を表す名詞(前,後ろ,上,下,中)のように,他の名詞を限定することで,側置詞相当の機能を果たす形式化した名詞もあります。