東京外国語大学言語モジュール

感情・感覚・身体の状態の表現

感情表現は,意志的な働きかけというよりは,外部の刺激に対する反応である点で,知覚の表現に似ています。さらに,わけもわからずむかっ腹が立つ場合など,原因不明の「自発」である場合もあります。このため,典型的な他動詞構文とは異なる文法表示を感情表現に与える言語があります。日本語でも,「感じられる,思われる」など,動詞に自発の接辞「れる,られる」がつくのがその例です。他動詞構文を好む言語では,モノを主語とし,感情の主体を目的語(あるいは間接目的語)にして,動作主を主語とする典型的他動詞構文とは違う表示を与えたりします。
感情の場合と同様に,「暑い」「寒い」といった身体の感覚や,「頭が痛い」などの病気,けがによって感じる苦痛も,外的な環境や,身体の容態の変化といった,自分のことでありながら,意志ではままならない感覚なので,特別の表現をとる言語があります。