東京外国語大学言語モジュール

同定判断の表現

「AはBである」というような論理命題に該当するような判断を「同定判断」と呼ぶことにします。同定判断は,名詞を述語とする文であるとも考えられますが,名詞そのものだけでは述語になれない言語もあり,また名詞が述語にそのままなれる言語においても「AはBではない」という否定や,「Aは以前はBではなかったのに,時の経過とともにBになった」という状態の変化を表現するには,何らかの手段で述語性を名詞に与えることが必要になります。
英語の be 動詞などのコピュラ(繋辞(けいじ), copula)は,名詞を述語化する手段であると考えられます。同様に,英語の形容詞が述語になるとき be 動詞を必要とするのは,英語の形容詞が名詞的な性質を持っているためと考えられます。