東京外国語大学言語モジュール

自然現象の表現

自然現象は,人間にとって制御できないものであり,また誰かの行為の結果として起きるものでもありません。
日本語で「雨が降った」と言うのも,「雨」というものがあって,それが「降った」という行為を行なったのではなく,よくよく考えてみると,空から水滴が落ちてくる現象全体を「~が~する」という,自動詞構文の型に当てはめて表現しているだけで,「雨だった」でもいいわけです。この意味で,「自然現象は,その出来事に関係する関与者がゼロ」であると考えられるかもしれません。
このように,自然の現象は,「何がどうする」というモノとそれに関わる出来事,というように把握しづらい面があります。そのため,言語によっては自然現象を表すのに特別な構文(仮の主語を立てる,語順を変えるなど)を用意しています。