東京外国語大学言語モジュール

1.2. 標準フランス語
今日では、パリだけなく地方の主要都市においても、いわゆる「標準フランス語」を話す人たちがたくさん見られます。
フランスの著名な音韻論学者アンドレ・マルティネ(André Martinet)を中心とする音韻調査によって、この「標準フランス語」は、単にパリの言語規範が地方に拡大したことによって生まれたものではなく、ラジオやテレビの普及、あるいは人口の移動により、パリのフランス語が地方へ、逆に地方のフランス語がパリへと流入し、相互に干渉し合いながら、平均化していく中で生み出された標準語であることがわかっています。
 
[参考文献]
川口裕司 (1983) 「現代フランス語の音韻体系(1)-(6)」、『雑誌ふらんす 4-9月』、白水社.
 
Lodge, R. Anthony (1993) French from dialect to standard, Routledge.
Martinet, André et Henriette Walter (1973) Dictionnaire de la prononciation française dans son usage réel, France Expansion.