東京外国語大学言語モジュール

Step3 : 単純過去形の用法

授業や朗読などで本を読むときをのぞいて、日常的な状況の中で単純過去形を耳にすることはありません。単純過去形は、ふつう、書きことばの中でしか用いられません。最も頻繁に見かけるのは歴史の本でしょう。たとえば次の文章を見てください。
 
<歴史書>
 Clovis était un Franc Salien, dont le peuple occupait le territoire de l'actuelle Belgique. Il envahit le royaume gallo-roman en 486, battit les Wisigoths en 507 et réunit le royaume des Burgondes à celui des Francs en 534. Introduction à l'histoire de la langue française, Michèle Perret, 1998.
 
 クロヴィスはサリー・フランク人であり、その部族は現在のベルギーの領域を占領していた。彼は486年にガロ=ロマン王国を征服し507年には西ゴート族を討ち534年にブルグンド王国をフランク王国に併合した。( 『フランス語史入門』,ミシェル・ペレ,1998年)
 
envahit, battit, réunit が単純過去形です。この時制は話している今から切り離された過去の出来事を客観的に描写するといえます。しかし日常的に単純過去形を目にするのはこのような場合だけではありません。解説に進んでそれを見てみましょう。