東京外国語大学言語モジュール

対立・譲歩の表現

(1) Gisèle a les cheveux noirs, mais sa fille est châtain.
(ジゼルは黒髪ですが、娘は茶髪です。)
(1)のmaisには対立を表すというより、2つのものを対比させる働きがあります。ジゼルは黒で、娘は茶なのです。これに対して(2)のmaisは「美しい」という事実を「魅力がない」という事実に対立させています。
(2) C'est vrai, cette actrice est belle, mais elle n'a pas de charme.
(確かにその女優はきれいだ、しかし魅力がない。)
よく似た語に副詞のcependantやnéanmoinsがありますが、いずれも一般には書きことばで使われます。またpourtantは対立を強調したいときに用います。
(3) Il s'est mis au régime. Il n'arrive cependant pas à maigrir.
(彼はダイエットをしました。なのに痩せることができません。)
(4) J'ai bien dormi et pourtant j'ai encore sommeil!
(私はよく寝ました、なのにまだ眠たいのです。)
quand même「それでもやはり」も同じく対立を表しますが、こちらは前に述べられたことを肯定しつつも、反対のことを述べるときに使います。
(5) Ce livre n'était pas très intéressant, mais je l'ai quand même lu.
(その本はあまり面白くありませんでした、しかしそれでも私は読みました。)
名詞を対立させたいときはmalgré「~にもかかわらず」を用います。
(6) Il est sorti malgré la pluie.
(雨にもかかわらず彼は出かけた。)
接続詞queを使った以下の表現もよく耳にします。
(7) Tu aimes les oignons, tandis que moi je déteste ça.
(君はタマネギが好きですが、私は大嫌いです。)
(7)のtandis queは対立というよりも、対比を表すと言えます。alors que「~の一方で」もtandis queと同じ意味になりますが、より書きことば的です。次のbien que「~にもかかわらず」は譲歩を表し、接続法(→カード102)をとります。
(8) Le voyage a été agréable, bien qu'il ne fasse pas beau.
(天気は良くなかったが、旅行は快適であった。)