東京外国語大学言語モジュール

強調構文(その2)

文のはじめに移動

(1) Cette salade, c'est une salade à quoi ? <主語>
(このサラダ、何のサラダですか?)
(2) Ce manteau, je peux l'essayer ? <目的語>
(このコート、試着してもいいですか?)
強調する要素を文の最初に移動すると、その要素は文の主題になります。つまり、「このサラダ、このコートについて言うのですが・・・」と言うのと同じことになります。そしてその後で、主題について話し手が言いたいことが述べられます。したがって、このやり方では、まず話のテーマに聞き手の注意を引きつけることができるわけです。これに対して、次の(3)や(4)のように、要素を文末に移動すると、まず話し手は言いたいことについて述べ、後で補足的にその主題が述べられることになり、聞き手の注意は当然のことながら、最初に述べられる話し手の意見そのものに引きつけられます。

文の終わりに移動

(3) Elle vous va très bien, cette cravate. <主語>
(とてもお似合いです、そのネクタイ。)
(4) Tu les as déjà finis, tes devoirs? <目的語>
(もう終わったの、君の宿題?)
この文の終わりに移動する構文は、しばしば感情をあらわす動詞や語彙とともに用いられます。このことから、この構文は感情的ニュアンスが強いと指摘する文法家もいます。
(5) Ils sont marrants, ces gens-là !
(おかしいなあ、その人たち!)
(6) Mais c'est pas normal, cette décision !
(それにしても普通じゃない、その決定は!)
(7) Je sais pas, moi !
(知らないよ、僕は!)