東京外国語大学言語モジュール

接続法と直説法の違い

どうです。違いがわかりましたか。(1)は見つけたワンルームには、実際にインターネット用コンセントがついていますね。しかし(2)はできればコンセントがついていて欲しい、あるいはそうであればいいという、話者の希望や願望であって、実際にはそうとは限りません。つまり、話し手がそうあって欲しい、希望する事柄を伝えるときに動詞は接続法になるわけです。したがって主節の動詞(上の例のtrouverchercher)ではなく、伝えたい内容をあらわす従属節の動詞(上例のêtreが接続法になります。次の例も同じように考えられます。
(3) On a recruté un professeur d'anglais qui peut enseigner aussi le français.
(私たちはフランス語も教えられる英語教師を雇った。 (peutはpouvoirの直説法現在形))
(4) On voudrait trouver un professeur d'anglais qui puisse enseigner aussi le français.
(私たちはフランス語も教えられるような英語教師を見つけたい。 (puisseはpouvoirの接続法現在形))
次の2つの文はどうでしょうか。どうして一方で接続法が用いられているのでしょうか?
(5) Dites à Mireille qu'il ira la voir mardi prochain. (iraはallerの直説法単純未来形)
(来週の火曜日に彼が会いに行くでしょう、そうミレーユに言ってください。)
(6) Dites à Mireille qu'elle aille le voir mardi prochain. (ailleはallerの接続法現在形)
(来週の火曜日に彼に会いに行くようにミレーユに言ってください。)
(5)は、「彼が会いに行く」という事実をそのままミレーユに伝えるという文です。ところが(6)は違います。この文では会いに行くのはミレーユです。つまりミレーユに会いに行くように命令をする文なのです。話し手が相手に命令的に事柄を伝える文でも接続法が用いられます。
どうでしたか。接続法は初級文法の横綱的存在。これを攻略するには万全の準備とトレーニングが必要になります。なかなか勝てない相手ですから、気にしないで例文に進むことにしましょう。