東京外国語大学言語モジュール

croire「思う」とécrire「書く」の現在形

フランス語の思考動詞
 
日本語の「~を考える、~と思う」にはフランス語のcroire, penser, trouverという3つの動詞が対応すると言えるでしょうが、それぞれの動詞はニュアンスと構文が異なります。それらをまとめておきましょう。まず、いずれの動詞も接続詞que をとることができます。
(1) Je crois que tu as raison.
(君は正しいと思います)
(2) Je pense qu'il est trop tard. 
(遅すぎると思います)
(3) Je trouve que tu exagères.
(君は誇張していると思います)
ある本によれば、penserは客観的な根拠による推論で、croireは信念に基づいた推論だと言います。いずれにしても、trouverとはちょっと違います。trouverは、実際に確認できたことについて、主観的な評価を含んだ感想として、「~と思う」と述べるときに用います。したがってtrouverはふつう、これから実現する事柄とともに用いることができません。
(4) Vas-y à vélo, ce sera plus rapide, je crois (pense).
(自転車で行きなよ、そのほうが早いと思う)
構文的な違いについていえば、penserは直接目的語をとって次のように言うことはできません。
(5) Je la crois (trouve) très ambitieuse.
(私は彼女がとても野心家だと思う)
さらに名詞の目的語が後ろにくるときも、ちょっと注意が必要です。
(6) Il pense toujours à son intérêt.
(彼はいつも自分の利益を考えている)
(7) Elle croit toujours son professeur.
(彼女はいつも先生の言うことを信じている)
(8) Qui peut croire aux promesses de ce président ?
(誰がこの大統領の公約を信じることができよう?)
(9) Elle a trouvé un mari au Japon.
(彼女は日本で夫をみつけた)
penserはà+名詞(人あるいは物)となりますが、croire+人は、「その人の言うことを信じる」の意味になり、物の場合にはcroire à+物になります。またtrouverは「~をみつける」という意味になります。
 ちなみに「~を考える」という程度がもっと深いときは、カード53で学んだréfléchirという別の動詞を用います。
(10) Nous devons bien réfléchir au problème des centrales nucléaires.
(私たちは原子力発電所の問題をもっとよく考えなければならない)