東京外国語大学言語モジュール

081: 接続法 (4) ― 間接話法

 間接話法には原則として接続法1式を用いますが,接続法1式が直説法現在形と同じ形になるときには接続法2式を用います。
 
(4)
Martin sagte, seine Frau komme morgen nach Japan. 
マルティーンは,奥さんが明日日本に来ると言った。(kommeは接続法1式)
 
(5)
Martin sagte, seine Kinder kämen morgen nach Japan. 
マルティーンは,子供たちが明日日本に来ると言った。
(接続法1式 kommen は直説法現在形と同じ形なので接続法2式 kämen を使っている)
 発言内容だけでなく,思考内容などにも間接話法が用いられることがあります。
 
(6)
Damals glaubte man, die Sonne laufe um die Erde. 
当時人々は太陽が地球の周りを回ると信じていた。
 「…だったと言った」のように,過去のこと(正確に言えば,発話時点以前に起こったこと)を表すときは,完了形を用い,完了の助動詞 haben/sein を接続法にします。
 
(7)
a.
Sie sagte, er habe sich ein Auto gekauft. 
彼女は[彼が車を買った]と言った。
 
 
b.
Sie sagte, er kaufe sich ein Auto. 
彼女は[彼が車を買う]と言った。
 
(8)
a.
Er sagt, sie sei krank gewesen. 
彼は[彼女は病気だった]と言っている。
 
 
b.
Er sagt, sie sei krank. 
彼は[彼女は病気だ]と言っている。
 次に間接話法と直接話法の対応関係を挙げておきます。
 
間接話法
直接話法
 Tina sagte, sie sei krank.
 ティナは自分が病気だと言った。
 Tina sagte: „Ich bin krank.“
 ティナは言った。「私,病気なの。」
 Tobi fragte mich, ob Tina auch komme.
 トビは僕にティナも来るのか尋ねた。
 Tobi fragte mich: „Kommt Tina auch?“
 トビは僕に尋ねた。「ティナも来るの?」
 Tobi fragte mich, wann Tina komme.
 トビは僕にティナがいつ来るのか尋ねた。
 Tobi fragte mich: „Wann kommt Tina?“
 トビは僕に尋ねた。「ティナはいつ来るの?」
 Tobi sagte Tina, sie solle nicht rauchen. 
 トビはティナにタバコを吸うなと言った。
 Tobi sagte zu Tina: „Rauche nicht!“
 トビはティナに言った。「タバコを吸うな!」
 Tobi bat Tina, sie möge nicht rauchen.
 トビはティナにタバコを吸わないでと頼んだ。
 Tobi bat Tina: „Rauche bitte nicht!“
 トビはティナに頼んだ。「タバコを吸わないで!」
 なお,他人の発言内容を取り次ぐ言い方は多種多様で,いつでも接続法を使うとは限りません。次の例はインターネットで検索した実例ですが,どちらも直説法が使われています。
 
(9)
Der Arzt sagte, dass meine Frau um 7.45 Uhr verstarb.
医者は,私の妻が7時45分に死亡したと言った。
 
(10)
Der Hals-Nasen-Ohren-Arzt sagte, meine Ohren an sich sind in Ordnung.
耳鼻咽喉科医は,私の耳そのものは正常だと言った。
 間接話法は,ドイツ語の文章を読むときにそれとわかれば当面は十分です。