東京外国語大学言語モジュール

080: 接続法 (3) ― 接続法第2式の作り方

 接続法2式の作り方の説明で「不規則動詞」と言ったのは,実は少し端折った言い方です。正確に言えば,「不定形の語幹と過去基本形の語幹が異なる動詞」ということになります。たとえば wollen は現在人称変化で ich will, du willst, er will, wir wollen...となる「不規則動詞」ですが,過去基本形は woll-te で,不定形 woll-en と語幹が同じです。それで接続法2式に関しては「規則動詞」扱いになり,接続法2式は過去形と同じ er wollte となります。それに対して könn-en は過去基本形が konn-te で,不定形と語幹が異なりますから,接続法2式は o → ö という変音が適用されて könnte となります。
 なお,動詞そのものを接続法2式にする代わりに,würde + 不定形という組み合わせを用いることもよくあります。「お金が十分にあれば,私はもう働かないだろう。」の下線部は次のどちらの形も可能です。
 
(1)
Wenn ich genug Geld hätte, würde ich nicht mehr arbeiten.
(würde + arbeiten の不定形)
 
(2)
Wenn ich genug Geld hätte, arbeitete ich nicht mehr.
(arbeiten の接続法2式)