東京外国語大学言語モジュール

075: 関係代名詞と関係文 (1)

 1格の関係代名詞を使った例文を挙げておきます。先行詞の性・数と一致していることを確認してください。
 
(5)
Ja, ich denke an so einen kleinen Taschenkalender, der aber trotzdem für jeden Tag eine Seite hat. 
ええと,これくらいの小さなダイアリーで,毎日で1ページになっているものがほしい(<を考えている)んですけど。[会話29]
 
(6)
Ein Ziegelhaus ist weitaus trockener als ein Haus, das aus anderen Materialien errichtet wird. 
レンガの家は他の素材で建てる家よりもはるかに乾燥している。
 
(7)
Mein Vater arbeitet bei einer Firma, die eng mit Toyota zusammenarbeitet. 
父はトヨタと提携している会社で働いている。
 
(8)
Viele Frauen, die ihren Beruf nicht aufgeben wollen, machen sich Gedanken, wie sie alles schaffen werden. 
仕事を辞めたくない多くの女性はどうしたらそうできるか考えている。
 
     ※sich3 Gedanken machen は「よく考える」という意味の成句。
  これまで見てきた関係文はどれも先行詞が表す人や物を限定する働きをしていました。たとえば (8) の die ihren Beruf nicht aufgeben wollen (仕事を辞めたくない) という関係文によって「全ての女性」のうちの「仕事を辞めたくない女性」に対象が限定されています。しかし中には次のような関係文もあります。
 
(9)
Mein Vater, der jetzt in Berlin arbeitet, ruft uns selten an. 
今ベルリンで仕事をしている父は家にめったに電話をしてくれない。
 この関係文 der jetzt in Berlin arbeitet は「全ての私の父」のうちの「今ベルリンで仕事をしている父」というわけではなく,もともと一人に限定されている「私の父」について「今ベルリンで仕事をしている」という説明を付け加えているだけです。たとえば「父は,今ベルリンで仕事をしているけど,家にめったに電話をしてくれない」などと訳すこともできます。このように,先行詞の表す対象を限定するのではなく,詳しく説明するために関係文を用いることもあります。