東京外国語大学言語モジュール

070: 受動文 (3) ― 受動態と助動詞

 例文 (3) をもう一度見てみましょう。
 
(3)
Der Patient kann noch gerettet werden. 
その患者はまだ救うことができる。
  主語「患者」は「救われる」人なので受動態になっています。それに「できる」が加わると「救われることができる」となりますが,日本語で「その患者はまだ救われることができる」は非常に不自然で,「その患者はまだ救うことができる」あるいは「その患者はまだ救える」さらに「その患者はまだ助かる」と言う方が自然ですね。このように,ドイツ語では受動態になっていても,日本語にするときは「~れる・~られる」としない方が自然な表現になることがよくあります。
 さて,ステップ69で完了形の受動文を勉強しましたが,これに werden を加えると未来完了形の受動文になります。
 
(4)
Der Bankräuber wird in drei Tagen festgenommen worden sein. 
銀行強盗は3日後には逮捕されているだろう。
 festgenommen worden sein で完了形「逮捕されている」,それに wird で「だろう」が付け加わっています。なお,ステップ49の解説にあるように,未来完了形は過去の事柄についての推量の意味を表すこともあります。
 
(5)
Der Bankräuber wird schon festgenommen worden sein. 
銀行強盗はすでに逮捕されているだろう。