東京外国語大学言語モジュール

031: 話法の助動詞 (3) ― sollen(~すべきだ)と dürfen(~してもよい) ―

 ステップ30で学んだ wollen (~するつもりだ) が主語の意志を表すのに対して,sollen は主語以外の何者かの意志を表します。例文を見てみましょう。
 
(3)
Er will Jura studieren. 彼は法学を専攻するつもりだ。
 
(4)
Er soll Jura studieren. 彼は法学を専攻するべきだ。
 (3) の will は,「彼が法学を専攻する」 ことを主語の 「彼」 自身が望んでいるということを表しています。一方 (4) の soll は 「彼が法学を専攻する」 ことを 「彼」 以外の誰かが望んでいるということを表しています。(4) には仮に 「~するべきだ」 と訳を付けましたが,具体的に誰がそのことを望んでいるかによって,日本語への訳し方はさまざまです。たとえば 「私」 が望むのならば 「彼には法学を専攻させよう」 とでもなるでしょう。いくつか例文を見てみましょう。
 
(5)
Ich soll um 5 Uhr vor dem Bahnhof sein. 私は5時に駅前にいるように言われている。
 
(6)
Der Chef sagt: „Herr Berg soll sofort kommen.“ 上司が言う 「ベルクさんをすぐに来させなさい。」
 
(7)
Wann sollen wir zu Ihnen kommen? 私たちはいつお邪魔したらいいですか?
 
(8)
Die Autofahrer sollen die Verkehrsregeln beachten. 運転者は交通規則を守るべきだ。
 (8) では特定の個人ではなく,社会一般の意志が表されていると考えて良いでしょう。なお,sollen には 「~ということだ」 「~らしい」 という 「噂・伝聞」 を表す用法もあります。
 
(9)
Er soll sehr reich sein. 彼はとてもお金持ちだそうだ。
 dürfen は 「~してもよい」 という許可あるいは正当性を表すと考えておけば当面は大丈夫です。
 
(10)
Jetzt dürft ihr Computer spielen. 今度はコンピューターゲームをしていいよ。
 
(11)
Nach dem Examen darf man faul sein. 試験の後はのんびりしていてもいい。
 なお,(11) の man は不特定の人を表しています。男性名詞の Mann (男,夫) と間違えないようにしましょう。また,dürfen は否定されると 「~してはいけない」 という禁止の意味になります。「~しないでもよい」 とはなりません。
 
(12)
Du darfst nicht ins Kino gehen. 君は映画に行ってはいけないよ。
 
(13)
Hier darf man nicht rauchen. ここで喫煙をしてはいけない。(=ここは禁煙だ)