東京外国語大学言語モジュール

001: 動詞の現在人称変化 (1)

 カードの例文をもう一度みてから動詞の形の説明をしましょう。
 
(1)
Ich lerne Deutsch. 私はドイツ語を勉強する。
 
(2)
Sie lernen Englisch. あなたは英語を勉強する。
 
(3)
Wir lernen Chinesisch. 私たちは中国語を勉強する。
 
(4)
Sie lernen Französisch. あなたたちはフランス語を勉強する。
  まず,ドイツ語の動詞は語幹語尾から成り立っています。
 
(ich)
lerne
lern-
-e
(Sie)
lernen
lern-
-en
(Wir)
lernen
lern-
-en
 
 
 
語幹
語尾
 例文 (1) ~ (4) の動詞の語幹はどれも lern- で共通しています。この部分は動詞の本体にあたり,「勉強する」などの意味を表しています。これに主語の人称と数 (すう) に応じた語尾が付くのです。(1) は主語が ich なので -e という語尾が付き,(2) では主語が Sie なので -en という語尾が付くというわけです。この lerne や lernen は,主語に応じて語尾が定まった形なので定形と言います。
 一方,辞書の見出し語のように,動詞を単に挙げるときの形を不定形と言います。不定形は語幹に -en という語尾が付いた形,つまり主語が Sie や wir の時と同じ形です。
 
 
不定形
lernen
lern-
語幹
-en
語尾
 
「あなたは/あなたたちは」の Sie は,常に S を大文字書きにします。一方 ich は英語の I と異なり,文頭以外では大文字書きにしません。 少数ですが,不定形の語尾が -en ではなく -n の動詞もあります。そのような動詞では人称語尾も -en ではなく -n となります。
tun (する) ⇒  wir tun (私たちは~する),Sie tun (あなたは/あなたたちは~する)
不定形が -eln で終わる動詞(つまり語幹が -el で終り,不定形の語尾が -n の動詞)は,主語が ich のときに語幹末の e が脱落します。
lächeln (ほほえむ) ⇒ ich lächle (私は微笑む) < lächele の e が脱落