東京外国語大学言語モジュール

083: 接続法 (6) ― 願望などの表現

 「もし~ならば」という部分だけで「願望」を表すこともできます。
 
(1)
Wenn das Paket doch endlich käme! 
小包がもういい加減に届いてくれたらなあ。
 
(2)
Na ja, wenn er doch bloß keine Freundin hätte... 
あーあ,彼に恋人さえいなかったらなあ。[会話37]
 このように「もし~ならば」だけで非現実の願望を表現するのは,日本語で「~だったらなあ(タメイキ)」というのと同じことですからわかりやすいですね。日本語では「~だったら」に「なあ」が付きますが,ドイツ語でも (1) の doch や (2) の doch bloß あるいは doch nur などを伴うことが多いようです。逆に,「もし~ならば」を,はっきりと wenn … で表さないこともあります。 
 
(3)
Ich glaube, die könnte sich gut in unsere WG einleben und mit der hätten wir auch viel Spaß.
彼女なら,うちのWGによく馴染めそうだし,一緒に楽しめると思うよ。[会話18]
※ WG は Wohngemeinschaft の略。アパートを数人で借りて部屋を分けて使う。
 wenn ... という従属文はありませんが,動詞が接続法2式になっているので,それだけで仮の話だということがわかるのです。それで和訳も die を「彼女なら」と訳しています。