東京外国語大学言語モジュール

081: 接続法 (4) ― 間接話法

 
(1)
Er sagt, er könne nicht kommen, weil er keine Zeit habe. 
彼は,時間がないから来られないと言っている。
 (1) の könne と habe は接続法1式で,「彼は時間がないから来られない」が他人の発言内容であるという目印になっています。このように,接続法を用いて,自分の態度は保留したまま他人の発言内容を取り次ぐ言い方ができます。これを間接話法と言います。
 さて,次の(2) と (3) の意味はどう違うのでしょうか。
 
(2)
Hans sagt, er habe keine Zeit. Er müsse noch ein Referat schreiben.
ハンスは時間がないって言っている。彼はまだレポートを書かないといけないって
 
(3)
Hans sagt, er habe keine Zeit. Er muss noch ein Referat schreiben.
ハンスは時間がないって言っている。彼はまだレポートを書かないといけないんだよ
 (2) では後の文でも müsse と接続法が使われているので,これもハンスの言ったことになります。一方 (3) では後の文では muss と直説法現在形が使われているので「彼がレポートを書かないといけない」はこの文の発話者自身の発言になります。