東京外国語大学言語モジュール

078: 接続法 (1) ― 概観

 
(1)
Er sagte, er habe keine Zeit.
彼は時間が無いと言っていた。
 
(2)
Wenn er Zeit hätte, würde er eine Reise durch Deutschland machen.
もしも時間があれば彼はドイツ中を旅行するだろう。
 (1) の habe は haben の接続法1式という形です。また (2) の hätte と würde はそれぞれ haben と werden の接続法2式という形です。動詞の定形には現在形 (例: er hat) と過去形 (例: er hatte) の他に接続法第1式 (例: er habe) と接続法第2式 (例: er hätte) という2つの形があります。
 接続法の用法は大きく3つにまとめられます。それぞれの用法の典型的な意味と,用いられる動詞の形を図式的にまとめると以下のようになります。
 
 用法
 典型的な意味
 動詞の形
 例文
  間接話法
 「~と」(言った)
 接続法第1式または第2式
   (1)
  非現実話法
 「~ならば…だろう」
 接続法第2式
   (2)
  要求話法
 「~であれ/~となれ」
 接続法第1式
 →ステップ85
※接続法に対して,これまで単に現在形や過去形と呼んできた形は,厳密には直説法現在形および直説法過去形と言います。