東京外国語大学言語モジュール

071: 受動文 (4) ― 能動文と受動文

 このステップでは受動文と能動文の関係を確認しておきましょう。
 
(1)
Der Lehrer lobt den Schüler ständig.
先生はその生徒をいつもほめる。
 
(2)
Der Schüler wird ständig [vom Lehrer] gelobt.
その生徒はいつも[先生に]ほめられる。
 (1)と(2)からわかるように,受動文(2)の主語(der Schüler)は能動文(1)の4格目的語(den Schüler)に対応しています。ここでは4格ということが重要です。というのは,目的語でも4格でなければ受動文の主語(=1格)にはならないからです。
 
(3)
Der Lehrer hilft dem Schüler ständig.
先生はその生徒をいつも助ける。
 
(4)
Dem Schüler wird ständig [vom Lehrer] geholfen.
その生徒はいつも[先生に]助けられる。
 能動文(3)の目的語(dem Schüler)は3格なので,受動文(4)でも主語にはならず,3格のままです。(4)は主語のない受動文です。 (これについてはステップ72で勉強します。)
 さて,能動文の主語,つまり「行為の主体」は受動文では表さないことが多いですが,表すときは(2)や(4)のように von を使います。なお,「行為の主体」ではなく,「原因」「手段」「仲介者」などならば durch を使って表すこともあります。
 
(5)
Die Berghütte wurde durch eine große Lawine zerstört.
山小屋は大きななだれにつぶされた。