東京外国語大学言語モジュール

3.5.4. 長母音の短縮
(8) 長母音は5種類ありますが、短母音は3種類ですから、長母音が短縮するときは次のようになります。
長母音
短縮
短母音
a
e
o
 
2つの場合に、長母音が短縮して、短母音になります。1つは、名詞や形容詞に複数語尾 iːn など、長母音の語尾が付けられたとき、もう1つは、短母音の脱落などによって音節の組み合わせが変わるときです。
 
 
(9) 長母音語尾が付いたとき
ルール
1つの単語の中には、長母音は1つしか存在することができません。
 
複数語尾iːn や双数語尾 eːn のような長母音のある語尾が付いて、長母音が2つになると、前の方の長母音が短縮します。長母音として残るのは、より後の方の長母音です。
 

yabaːni「日本人(男)」に複数語尾iːn を付けると、長母音(ː)が2つになるので、先のほうを短縮します。
ياباني /yabaːni/ 日本人(男)
ياباني /yabaneiːn/ 日本人(複数)
iːd「手」に双数語尾eːn を付けると、長母音(ː)が2つになるので、先の方を短縮します。
ايد /iːd/
ايديا /edeyya/ 両手
 
(10) 語末CVːCに、子音で始まる語尾が付いたとき
CVːCの音節型は語末にのみで許されますから、子音で始まる語尾が付くと、CVːCの長母音を短縮します。
 

eʃtareːt「私は買った」に語尾ha「それを」を付けると、eʃtareːtha となりますが、reːt(CVːCは語末のみで可能)は語末ではなくなったので eː を e に短縮し、eʃtarethaとします。
اشتريت /eʃtareːt/ 私は買った
اشتريتها /eʃtaretha/ 私はそれを買った
 
(11) 語末のe、oの削除に伴うもの
VːCeCV、VːCoCV の eやoが削除されるのに伴って、長母音が短縮します。