1. ʔinna とその姉妹語
ʔinna のほか,ʔanna 「~と,~ということ」,laakinna 「しかし」,li-ʔanna 「なぜなら,~から」といった接続詞は,直後に名詞対格か接尾代名詞を後続させます。これらの接続詞をアラビア語学では「ʔinna とその姉妹(ʔinna wa-ʔaxawaat-u-haa)」と呼んでいます。
إنّ مكتب الصرافة داخل ذلك البناء.
(両替所はあのビルの中ですよ。)
[ʔinn-a maktab-a S-Siraafa(t-i) daaxil-a ðaalika l-binaaʔ(-i)]
ʔinna 節中の述語は対格にする必要はありません。
هل هذا سعر نهائيّ؟ ... نعم، إنّه سعر نهائيّ.
(それはファイナル・プライスですか。…ええ,ファイナル・プライスです。)
[hal haaðaa siʕr(-un) nihaaʔiyy(-un) … naʕam, ʔinna-hu siʕr(-un) nihaaʔiyy(-un)]
2. 文頭の ʔinna
文頭で用いられる ʔinna には,会話の中で話題となっているものを名詞(対格)か接尾代名詞の形で取り上げ,それについて説明したり,自分の意見を述べたりする機能があります。
هل أعجبك هذا القميص؟ إنّه بستّين ديناراً.
(そのシャツがお気に召しましたか。それは60ディナールです。)
[hal ʔaʕjab-a-ka haaða l-qamiis(-u) ʔinna-hu bi-sittiina diinaar-an]
【語句】 ʔaʕjab-a (yu-ʕjib) 「気に入らせる」
上の例で話題になっているのは haaða l-qamiiS 「このシャツ」です。ʔinna 節の中では「このシャツ」を接尾代名詞 -hu で取り上げ,その値段について説明しています。
3. 「~と言う」
ʔinna の大切な役割に qaal-a (ya-quul) 「言う」の目的語となる名詞節を導く機能があります。「~と言う」に言うには<qaal-a (ya-quul) ʔinna-接尾代名詞/名詞(対格) ~>の文型を使います。
يقال إنّ المنتخب اليابانيّ أقوى من المنتخب المصريّ.
(日本代表のほうがエジプト代表より強いと言われています。)
[yu-qaal-u ʔinna l-muntaxab-a l-yaabaaniyy(-a) ʔaqwaa min-a l-muntaxab-i l-miSriyy(-i)]
【語句】 yu-qaal
「言われる」 ☞ ya-quul 「(彼は)言う」の受動態